雇用保険法の基本 35の要点にまとめました
§1、目的等
1、 第1条
雇用保険は労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場
合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を
行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その
就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及
び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図る事を目的と
する
2、 適用事業 労働者を1人でも雇用する事業
3、 保険事故と給付
@失業→求職者給付、就職促進給付
A雇用の継続が困難(高齢、育児・介護の必要等)→雇用継続給付
B教育訓練を受けた場合(失業の回避)→教育訓練給付
§2、給付の体系
4、 給付体系
失業等給付(4種類)
@求職者給付A就職促進給付B教育訓練給付C雇用継続給付
5、 求職者給付
(一般被保険者) 基本手当
技能習得手当(受講手当・通所手当)
寄宿手当
傷病手当
(高年齢継続被保険者) 高年齢求職者給付金
(短期雇用特例被保険者) 特例一時金
(日雇労働被保険者) 日雇労働求職者給付金
6、 就職促進給付
就業促進手当:早期再就職への奨励金
就業手当・再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当
移転費:再就職の際の引っ越し費用等
広域就職活動費:求職活動の際の交通費等
7、 教育訓練給付 教育訓練給付金
8、 雇用継続給付
高年齢雇用継続給付 高年齢雇用継続基本給付金
高年齢再就職給付金
育児休業給付 育児休業給付金
介護休業給付 介護休業給付金
9、 暫定任意適用事業
常時5人未満の個人経営の農林水産の事業
§3、被保険者
10、 被保険者の種類
@一般被保険者(一般)
65歳未満
A高年齢継続被保険者(高継)
同一の適用事業所に65歳に達した日の前日から引き続き雇用されているもの
B短期雇用特例被保険者(短特)
季節的に4ヶ月を超える期間を定めて雇用され、かつ週所定労働時間が30時間以上
C日雇労働被保険者(日雇)
日雇労働者(日々雇用される者又は30日以内の期間を定めて雇用される者)で一定の地
理的条件をみたすもの
11、 一般被保険者の適用除外者 (被保険者となる場合)
@65歳以降に雇用される者 高継、短特、日雇にはなりえる
A週所定労働時間が20時間未満 日雇にはなりえる
B継続して31日以上の雇用が見込まれない者 日雇にはなりえる
前2カ月各月18日以上の雇用
C季節的雇用で次のいずれか
ア 4カ月以内の期間 日雇にはなりえる
所定の期間を超え雇用された場合
イ 週20時間以上30時間未満の者 日雇にはなりえる
D昼間学生 休学中、定時制の者
E船員 1年を通じて雇用される場合
F公務員
§4、基本手当
12、 基本手当 5種類の期間
@算定対象期間:受給資格の判定になる期間。原則離職の日以前2年間。
疾病、負傷等の理由で引き続き30日以上の賃金の支払いを受けることが出来なかった場
合、その期間を最長4年まで加算できる
A被保険者期間:上記@の期間で11日以上の賃金支払い基礎日数のある月数
B算定基礎期間:被保険者であった期間(雇用期間)→所定給付日数が決定される
C待期期間:基本手当が支給されない7日間
D受給期間:基本手当の受給が可能な期間(原則1年間)
所定給付日数が360日の者 1年+60日
所定給付日数が330日の者 1年+30日
13、 特定受給資格者 @事業の倒産、縮小、廃止による離職者
A解雇等による離職者
(賃金の1/3超が引き続き2カ月以上未払い、業務が法令違反等)
14、 特定理由離職者 @いわゆる雇止めによる離職者
A正当な理由のある自己都合による離職者
(体力の不足等、希望退職者への応募等)
15、 基本手当の受給資格
原則(一般の受給資格者)
離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算12カ月以上
特定受給資格者/特定理由離職者
離職の日以前1年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算6カ月以上
16、 受給手続き
@事業主は資格喪失日の翌日から10日以内に被保険者資格喪失届に離職証明書を添付して公
共職業安定所に提出
A公共職業安定所長は離職票を離職者に交付(事業主経由も可能)
B離職者は公共職業安定所に求職の申し込みをして、離職票を提出し受給資格の決定を受け
る。基本手当の受給資格を有する者を受給資格者という
C公共職業安定所長は受給資格者証を離職者に交付
D受給資格者は失業認定日に出頭し失業の認定を受け、日数分(4週間に1回直前の28日
分)の基本手当を受給する
17、 基本手当の額 賃金日額の50〜80% (離職日に60歳以上は 45〜80%)
賃金日額=(被保険者期間最後の6カ月間の賃金総額)/180
*臨時に支払われる金額、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除く
18、 所定給付日数 @一般 算定基礎期間 10年未満 90日
〜20年未満 120日
20年以上 150日
19、 所定給付日数 A就職困難者 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
〜65歳未満 150日 360日
20、 所定給付日数 B特定受給資格者
特定理由離職者(正当な理由のある自己都合離職者については
被保険者期間が6〜12カ月未満である者に限る)も含む
〜1年 〜5年 〜10年 〜20年 20年以上
未満 未満 未満 未満
30歳未満 90 90 120 180 −
〜35歳未満 90 90 180 210 240
〜45歳未満 90 90 180 240 270
〜60歳未満 90 180 240 270 330
〜65歳未満 90 150 180 210 240
21、 給付制限 @就職拒否・職業訓練拒否:1カ月
A職業指導拒否:1カ月を超えない期間
B離職理由が自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、自己都合退職の場合
:待機期間満了後1カ月以上3か月未満
§5、就職促進給付と教育訓練給付
22、 就職促進給付には@就業促進手当A移転費B広域求職活動費 がある
23、 就業促進手当@:就業手当
受給資格者が臨時アルバイト等の非常用型の職業に就いた場合
@支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上
A待機期間経過後職業に就き、または事業を開始
基本手当日額×30%
24、 就業促進手当A:再就職手当
受給資格者が安定した職業に就いた場合
@支給残日数が所定給付日数の3分の1以上
A待期期間経過後、職業につき、または事業を開始
所定給付日数の3分の1以上3分の2未満→基本手当日額×50%
所定給付日数の3分の2以上→ 基本手当日額×60%
25、 就業促進手当B:就業促進定着手当
再就職手当の支給対象者が、再就職の日から、引き続き6カ月以上雇用され
、再就職後の賃金が、離職時の賃金より低下した場合、基本手当の支給残日
数分の40%を上限として支給される。
支給額は(離職時賃金日額−再就職後の賃金日額)×(再就職後6カ月間の
賃金支払いの基礎日数)
*離職時の賃金日額を、算定基礎賃金日額、再就職後の賃金日額を、みなし
賃金日額という。
*6カ月目にあたる日、の翌日から2カ月以内に支給申請が必要。
26、 就業促進手当C:常用就職支度手当
受給資格者等(特例受給資格者、日雇受給資格者も含む)で就職が困難な者
が安定した職業に就いた場合
・受給資格者の場合、支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であること
・待機期間経過後職業に就いたこと
・支給額
原則 基本手当日額×90×40%
支給残日数45日以上90日未満 基本手当日額×支給残日数×40%
支給残日数45日未満 基本手当日額×45×40%
特例受給資格者:短期雇用特例被保険者であった者
日雇受給資格者:日雇労働被保険者であった者
27、 教育訓練給付
支給要件期間が3年以上で教育訓練を開始した日(基準日)に一般被保険者であるもの、又は
基準日が一般被保険者でなくなった日から1年以内にあるもの
*支給要件期間:基準日までの被保険者であった期間
*基準日:教育訓練を開始した日
支給額 受講費(入学料と受講料)の20%、上限10万円
給付金が4000円未満のときは不支給
§6、雇用継続給付
28、 高年齢雇用継続基本給付金
被保険者であった期間が5年以上ある被保険者が60歳以後も継続雇用され、60歳以降の賃
金が60歳到達時賃金の75%未満に低下した場合低下後の賃金の最高15%を支給
29、 高年齢再就職給付金
基本手当を受給したもの(算定基礎期間が5年以上)が60歳以後に再就職し、再就職後の賃
金が75%未満に低下した場合等。ただし、基本手当の支給残日数が100日以上が要件
30、 支給期間
高年齢雇用継続基本給付金は60歳到達月〜65歳に達する月まで
高年齢再就職給付金は支給残日数に応じて1年又は2年(支給残日数200日以上)
31、 支給額 賃金低下率 61%未満 支払賃金額の15%
61%以上75%未満 15%から逓減
75%以上 不支給
32、 育児休業給付金
支給要件:一般被保険者が原則1歳に満たない子を養育するために休業した場合、休業開始日
前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上あるとき
支給期間:暦月単位ではなく、休業開始日から1カ月毎に区分した支給単位期間について支給
支給額 休業開始日賃金日額×支給日数×50%(休業日数180日目までは67%)
33、 介護休業給付金
支給要件:一般被保険者が対象家族を介護するために休業した場合、休業開始日前2年間にみ
なし被保険者期間が通算して12カ月以上あるとき
対象家族:2週間以上にわたり常時介護を必要とする、配偶者・父母・子・配偶者の父母、
同居し扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫
支給期間:暦月単位ではなく、休業開始日から1カ月毎に区分した支給単位期間について支給
休業開始日から最長3か月。同一の家族に対して93日までが限度
支給額 休業開始日賃金日額×支給日数×40%
以上
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