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§1、目的・保険者等

 

1、 目的
  この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号
  に規定する業務災害)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もっ
  て国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする

 

2、 特徴
   @被用者を対象とした保険  *被用者:他人に雇われている者
  A保険事故(4種類)     業務外の事由による疾病・負傷・死亡・出産
  B被扶養者にも保険給付を行う

 

3、 保険者   全国健康保険協会と健康保険組合
  @全国健康保険協会・・・主に中小企業の労働者。各都道府県に支部があり都道府県単位で財
              政運営(保険料率の設定等)を行う
  A健康保険組合・・・主に大企業が設立。通常は付加給付あり協会管掌より有利

 

 *全国健康保険協会が行う健康保険を「協会管掌健康保険」、
  健康保険組合が行う「組合管掌健康保険」と呼ぶ

 

 *常時700人以上(複数の企業の共同設立の場合は3000人以上)の被保険者を使用する
   事業主は厚生労働大臣の認可を受けることにより健康保険組合の任意設立が可能

 

4、 強制適用事業所
  @国、地方又は法人の事業所で、常時従業員を使用するもの
  A個人経営で適用業種の事業で常時5人以上の従業員を使用するもの

 

5、 @農林水産業
   Aサービス業(飲食、理容・美容等)
   B自由業(弁護士、社労士等)
   C宗教業
   *適用業種は16業種あり、製造業等多くの業種が該当する

 

6、 任意適用事業所
  厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所になれる
  事業所に使用される者(適用除外者を除き)の2分の1以上の同意が必要
  また4分の3以上の同意があれば
  厚生労働大臣の認可を受けて任意適用の取り消し可能

 

§2、被保険者

 

7、 被保険者    強制 @一般被保険者  適用事業所に使用される者
       退職後 A任意継続被保険者  退職後の被保険者
       退職後 B特例退職被保険者  特定健康保険組合の退職者
        日雇 C日雇特例被保険者  適用事業所に使用される日雇労働者

 

                                                                                          (例外)
8、 適用除外   @船員保険の強制適用者→船員保険の対象
                    A臨時雇用 ア)日々雇い入れられる者                  1カ月超えたときから
                                   イ)2カ月以内の有期契約                  所定の期間を超えた時から
                    B季節的業務→清酒製造業等                            4カ月超えは当初から
                    C臨時的業務→万国博覧会等                            6カ月超えは当初から
                    D所在地が一定しない事業所→サーカス等
                    E国民健康保険組合の事業所に使用される者→国民健康保険の対象
                    F後期高齢者医療の被保険者等→後期高齢者医療制度の対象

 

9、 法人の代表者等 → 法人から労務の対象として報酬を受けている者は被保険者になる
     個人事業主→ 被保険者にはならない
     パートタイマー (短時間労働者)
                        →加入要件:所定労働時間(1日又は1週間)及び所定労働日数(1カ月)が 
              通常の労働者と比べておおむね4分の3以上

 

10、 任意継続被保険者
  退職後2年を限度に健康保険の被保険者になることができる
   @適用事業所に使用されなくなった等、資格を喪失したこと
   A資格喪失日の前日(退職日)まで継続して2カ月以上一般被保険者であったこと
   B資格喪失日から20日以内に保険者に申し出る

 

11、 特例退職被保険者
  特定健康保険組合の組合員であった退職者のみを対象
  最長で75歳までの加入

 

§3、被扶養者

 

12、 被扶養者の制度   被扶養者の疾病、負傷、死亡、出産に対して保険給付を行う
            被扶養者に対する給付は被保険者に対してなされる
13、 被扶養者の範囲

 

  生計維持要件のみ(別居OK)
   直系尊属、配偶者(事実婚含む)、子、孫、弟妹

 

  生計維持+同一世帯
   3親等以内の親族、
   事実婚である配偶者の父母及び子、
   事実婚である配偶者の死亡後におけるその父母及び子

 

14、 生計維持関係とは
   被扶養者の年間収入が下表以下

 

             同一世帯                同一世帯でない
   60歳未満    130万円未満かつ         130万円未満かつ被保険者
           被保険者年収の1/2未満       からの援助額より少ない

 

   60歳以上    180万円未満かつ         180万円未満かつ被保険者
   または障害者   被保険者年収の1/2未満      からの援助額より少ない

 

    *年間収入:年金、給与、資産所得など継続、恒常的な収入(控除前)の総額

 

§4、給付の全体像

 

               (被保険者に対する)    (被扶養者に対する)
15、 疾病・負傷         療養の給付
                入院時食事療養費
                入院時生活療養費     家族療養費
                保険外併用療養費
                療養費

 

                訪問看護療養費      家族訪問看護療養費
                移送費          家族移送費
                傷病手当金        なし

 

                高額療養費        高額療養費(世帯単位)
                高額介護合算療養費    高額介護合算療養費(世帯単位)

 

   死亡                               埋葬料(埋葬費)          家族埋葬料

 

   出産            出産育児一時金      家族出産育児一時金
                   出産手当金        なし

 

§5、傷病に関する保険給付

 

16、 療養の給付 一部負担金(自己負担金)の割合

 

  原則(70歳未満の被保険者、被扶養者)        3割
  6歳到達年度末以前(義務教育就学前)の被扶養者    2割
  70歳以上(S19.4.1以前生まれ)        1割
  70歳以上(S19.4.2以降生まれ)        2割
  70歳以上(被保険者が70歳以上で*一定所得以上)  3割
  *標準報酬月額28万円以上

 

17、 療養の給付の範囲
  @診察A薬剤・治療材料(包帯等)の支給B処置、手術、治療C居宅における療養管理
  D入院 等の現物給付
  移送は含まれない

 

  正常な妊娠・出産、美容整形、健康診断等は傷病とされず保険診療の対象外

 

18、 入院時食事療養費
  入院時に食事療養標準負担額として1食260円(1日780円)負担し残りは入院時食事療 
  養費として現物給付

 

19、 入院時生活療養費  
  療養病棟に入院する65歳以上の者  生活療養標準負担額を除いた現物給付
  1日320円の居住費+1食460円(1日1380円)
  合計1日1700円の負担

 

20、 保険外併用療養費  
  混合診療:保険診療と保険外診療を併用した診療、原則全額自費
  混合診療の例外として、保険外診療が@評価療法A選定療法の場合は保険診療(基礎的部分)
  に保険が適用される

 

  評価療法:将来的に保険診療の対象にするかどうかの評価が必要な療養として厚生労働大臣が
       さだめるもの  例:先進医療、医薬品の治験等
  選定療法:患者の嗜好で選択するサービス。 例:特別室、時間外診療等

 

21、 療養費
  海外で治療を受ける、非保険医に係った場合等、負担金以外が後で払い戻される現金給付

 

22、 家族療養費
  「療養の給付」「入院時食事療養費」「入院時生活療養費」「保険外併用療養費」
  「療養費」の被扶養者に関するものは「家族療養費」として被保険者に給付される

 

23、 訪問看護療養費 (被扶養者の場合は「家族訪問看護療養費」)
  在宅療養の患者が主治の医師の指示で訪問看護ステーションからの訪問看護を受けた場合、原
  則3割の基本利用料と交通費等その他の利用料(看護師の交通費等)を負担する

 

24、 移送費 (被扶養者の場合は「家族移送費」)
  移動困難な患者が一時的・緊急的に移送された場合の現金給付 一部負担金無

 

25、 傷病手当金 被保険者の所得保障給付(任意継続被保険者除く)
  @療養のため
  A労務不能(1日の全部が労務不能であること)
  B継続する3日間の待機期間を満たすこと

 

  傷病手当金の額=標準報酬日額(標準報酬月額/30)×3分の2
  支給期間は1年6カ月

 

26、 高額療養費
  1カ月(暦日)間の一部負担金等の合計額が高額療養費算定基準額(自己負担限度額)を超え 
  る場合、超える額が高額療養費として支給。(原則)払い戻しされる

 

  対象外    入院時食事療養費・入院時生活療養費の標準負担額
       保険外併用療養費の自己負担分
       訪問看護療養費のその他の利用料

 

  70歳未満の一般所得者の場合
  高額療養費算定基準額=80100円+(医療費−267000円)×1%

 

  支給要件:同一の病院(医科、歯科、通院、入院は別々)で同一の月に支払った一部負担金等
       で判断

 

27、 世帯合算:一部負担金がそれぞれ21000円以上の場合世帯単位で合算可能

 

  多数回該当:過去12カ月以内に高額療養費が3回以上支給されている場合、4回目から高額
  療養費算定基準額が44400円に引き下げられる

 

§6、死亡・出産に関する保険給付

 

                 (支給対象者)
28、 埋葬料   死亡した被保険者により生計を維持されていた者で埋葬を行う者に対して5万円
   埋葬費    埋葬料を受けるべき者がいなくて実際に埋葬した者に対して実費(上限5万円)
       家族埋葬料     (被扶養者の死亡) 被保険者に対して5万円

 

29、 出産とは 妊娠4カ月(85日以上(28日×3+1日))以上の出産
   生産、死産、流産、早産を問わない
  被保険者の出産    出産育児一時金
  被扶養者の出産    家族出産育児一時金
  1児に42万円(双子84万円)

 

30、 出産手当金  被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産した場合
         出産日以前42日(予定日より出産が遅れた場合は予定日)から
         出産後56日まで労務しなかった期間支給される

 

  出産手当金の額=標準報酬日額(標準報酬月額/30)×3分の2

 

§7、標準報酬月額

 

31、 標準報酬月額に基づいて保険料が徴収される
  被保険者の報酬を月額に換算し47等級に区分されている標準報酬月額表にあてはめて標準報
  酬月額を決定する
  第1級58000円〜第47級1210000円まで

 

32、 資格取得時決定  入社時にこれから支払われる予定の報酬をもとに標準報酬月額を決定
           1/1〜5/31に資格取得    その年の8月まで有効
           6/1〜12/31に資格取得   翌年8月まで有効

 

33、 定時決定 毎年1回見直す
  7月1日に在籍する全被保険者対象 →9月〜翌年8月まで有効
  例外:6/1〜7/1に資格を取得した者
    :7月から9月に随時改定、育児休暇等終了時改定、産前産後終了時改定が行われる者

 

  4,5,6月の平均報酬から決定(報酬支払基礎日数が17日未満の月は除く)

 

34、 随時改定  下記3要件をすべて満たしたときに行う
        1、固定的賃金の変動
        2、固定的賃金の変動月以後3か月間の報酬支払基礎日数がすべて17日以上
        3、3か月間の標準報酬月額と従来の標準報酬月額に2等級以上の差がある

 

  3か月の最後の月の翌月から改定(変動月から4か月目)
  1月〜6月に改定 その年の8月まで
  7月〜12月に改定 翌年8月まで

 

35、 育児休業等終了時改定(又は産前産後休業終了時改定)
  育児休業等を終了した日に3歳未満の子を養育している被保険者、又は産前産後休業を終えた 
  被保険者が、事業主経由で申し出ることにより標準報酬月額が改定される
  休業終了日の翌日(職場復帰日)が属する月以後3か月間の平均報酬で改定される
  (報酬支払基礎日数が17日未満の月は除いて平均をとる)

 

36、 標準賞与額
  賞与(3か月を超える期間ごとに受け取る報酬)について1000円未満の端数
  を切り捨てた金額
  一年度(4月〜3月)で累計540万円という上限額がある

 

§8、保険料

 

37、 保険料の徴収
  月単位で被保険者資格取得月から喪失月前月までの各月で徴収される
  適用事業所に雇用された日は資格取得日で、退職の翌日が資格喪失日となる
  従って月末退職の場合、退職日の属する月は保険料が徴収される

 

38、 保険料 一般保険料と介護保険料がある

 

  介護保険第1号被保険者   65歳以上
  介護保険第2号被保険者   40歳以上65歳未満

 

  40歳未満         一般保険料のみ
  40歳以上65歳未満    一般保険料+介護保険料
  65歳以上         一般保険料のみ(介護保険料は市町村が徴収)

 

40、 一般保険料率
  協会管掌健康保険     都道府県単位保険料率(1000分の30〜120の範囲)
  組合管掌健康保険    健康保険組合ごと(1000分の30〜120の範囲)

 

  介護保険料率 全国一律 H26年度  1000分の17.2

 

41、 保険料負担
  一般被保険者     半額自己負担  事業主半額負担   納付義務は事業主 翌月末日納期
  任意継続被保険者   全額本人負担   納付義務は本人 当月10日納期

 

42、 源泉控除
  前月分の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除できる
  標準賞与額に係る保険料はその賞与から控除できる

 

43、 産前産後休業期間中及び育児休業等期間中の保険料免除
  休業開始日の属する月から休業終了日の翌日の属する月の前月まで、事業主の申し出により保
  険料免除。被保険者負担分と事業主負担分が免除
                                     以上

 

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