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厚生年金保険法  50の要点にまとめました

1、 法1条(法の目的)
  この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生 
  活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対し
  て行う給付に関して必要な事項を定めるものとする

 

2、沿革
  昭和14年   船員保険法の制定(昭和15年に施行、昭和61年に厚生年金保険に統合)
  昭和16年   労働者年金保険法の制定(昭和17年施行、現業男子のみが対象)
  昭和19年   労働者年金保険法を厚生年金保険法に改称(女子や一般男子職員に適用拡大)
  昭和36年   国民年金法の全面施行(昭和36年4月1日施行。国民皆年金)
  昭和61年   年金法の大改正(昭和61年4月1日施行。基礎年金制度の導入)

 

3、 保険給付の種類
 (保険事故)      (給付)
  老齢       老齢厚生年金
  障害       障害厚生年金・障害手当金
  死亡       遺族厚生年金

 

4、強制適用事業所
  @国、地方公共団体又は法人の事業所で、常時従業員を使用するもの
  A個人経営で適用業種の事業の事業所で常時5人以上の従業員を使用するもの
  B船舶所有者に使用される者が乗り込む船舶

 

5、 適用業種以外の業種(非適用業種)
  @農林水産業
  Aサービス業の一部(飲食、理容・美容等)
  B自由業(弁護士、社労士等)
  C宗教業

 

6、 任意適用事業所
  厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所になれる
  事業所に使用されるもの(適用除外者を除き)2分の1以上の同意が必要
  また4分の3以上の同意があれば厚生労働大臣の認可を受けて任意適用の取り消し可能

 

§2、被保険者

 

7、 厚生年金保険の被保険者の種類

 

  当然被保険者 70歳未満(適用事業所)
  任意単独被保険者 70歳未満(適用事業所以外)
  高齢任意単独被保険者 70歳以上(老齢給付等の受給権なし)
  第4種被保険者 退職後の任意継続被保険者

 

  厚生年金保険の被保険者は原則国民年金の第2号被保険者に該当するが、65歳以上で老齢給
  付等の受給権を有する者は国民年金の第2号被保険者に該当しない

 

8、 任意単独被保険者
  適用事業所以外に使用される70歳未満の者
  事業主の同意(保険料の半額負担、納付義務)
  厚生労働大臣の認可(本人が認可申請する)

 

9、 高齢任意加入被保険者(2種類あり)
  前提:70歳以上になっても老齢給付等の受給権を有していない者

 

  T、適用事業所に使用される者
   @厚生労働大臣に申し出(本人が申し出)  A保険料は全額本人負担、本人が納付
   例外:事業主が同意したときは事業主が半額負担及び納付義務を負う

 

  U、適用事業所以外の事業主に使用される者
  @事業主の同意(保険料折半、納付義務)
  A厚生労働大臣の認可(本人が認可申請)

 

10、 適用除外者
  @共済組合の組合員、私立学校教職員共済制度の加入者→共済年金の対象
  A臨時に使用されるもの(船員を除く)
   (日々雇い入れられる者、2カ月以内の期間を定めて使用されるもの)
  B季節的業務に使用されるもの(4カ月以内)(船員を除く)
  C臨時的事業の事業所に使用されるもの(6カ月以内)
  D所在地が一定しない事業所に使用される者
  A〜Dは健康保険の適用除外者と共通

 

§3、被保険者期間・標準報酬

 

11、 被保険者期間
  月単位。資格を取得した月から、資格を喪失した月の前月まで

 

12、 被保険者期間の特例
  坑内員、船員
   S61年3月31日まで             実期間×3分の4
   S61年4月1日〜H3.3.31まで      実期間×5分の6
   H3年4.1以降                実期間

 

13、 標準報酬月額の等級区分
  第1級98000円〜第30級620000円の30等級

 

14、 標準賞与額の上限額
  1カ月(賞与支払い1回)あたり150万円   *1000円未満の端数切捨て

 

15、 総報酬制  
   賞与の額も年金額に反映する    H15.4.1導入

 

16、 平均標準報酬額
  H15.4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率をかけて得た
  総額÷H15.4月以降の月数

 

17、 平均標準報酬月額(総報酬制導入前)
  H15.3月以前の被保険者期間の各月の標準報酬月額に再評価率をかけて得た総額
  ÷H15.3月以前の月数

 

§4、特別支給の老齢厚生年金

 

18、 特別支給の要件
  昭和36年4月1日以前生まれ(女子は昭和41年4月1日以前生まれ)
  60歳以上
  1年以上の厚生年金の被保険者期間
  国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間を満たすこと

 

19、 特別支給の年金額      報酬比例部分+定額部分+(加給年金)

 

20、支給開始年齢 
       *女子は5年遅れ
                    報酬比例部分    定額部分+加給年金
  S16.4.1以前          60歳から      60歳から
  S16.4.2〜S18.4.1    60歳から      61歳から
  S18.4.2〜S20.4.1    60歳から      62歳から
  S20.4.2〜S22.4.1    60歳から      63歳から
  S22.4.2〜S24.4.1    60歳から      64歳から

 

  S24.4.2〜S28.4.1    60歳から        なし

 

  S28.4.2〜S30.4.1    61歳から        なし
  S30.4.2〜S32.4.1    62歳から        なし
  S32.4.2〜S34.4.1    63歳から        なし
  S34.4.2〜S36.4.1    64歳から        なし

 

§5、原則支給の老齢厚生年金

 

21、 原則支給の要件
  65歳以上
  1カ月以上の厚生年金の被保険者期間
  国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間を満たすこと

 

22、 原則支給の年金額       報酬比例部分+経過的加算額+(加給年金)

 

§6、報酬比例部分・定額部分・経過的加算・加給年金

 

23、報酬比例部分の年金額
  A+B
  A:H15.4.1以後の期間
     平均標準報酬額X5.481/1000×被保険者期間の月数
  B:H15.3.31以前の期間
     平均標準報酬月額X7.125/1000×被保険者期間の月数

 

  給付乗率:1000分の5.481(7.125)は昭和21年4月1日以前生まれの者は生  
  年月日に応じて増加する(高齢世代ほど有利)

 

24、 定額部分
  40年加入した場合は、満額の老齢基礎年金とほぼ等しい額となる

 

      1628円X改定率(×支給乗率)×被保険者期間の月数

 

      *支給乗率:昭和21年4月1日以前生まれの者のみに乗じる率

 

  被保険者期間の月数
  @240カ月みなし:中高齢の特例により受給資格期間を満たした者
  A生年月日により月数の上限あり(S21.4.1以降生まれは480カ月が上限)

 

25、 経過的加算
  目的   65歳以後の年金額が減らないように加算される

 

  定額部分の額−(老齢基礎年金の満額×(S36.4以後で20歳以上60歳未満の)
  厚生年金の被保険者の月数/480)

 

26、 経過的加算の趣旨
  @同じ加入期間であっても、国民年金の老齢基礎年金より定額部分の方が有利に計算されるた
  め(坑内員、船員の特例等)その差額分を補う
  A老齢基礎年金の額に反映されない20歳前及び60歳以後の厚生年金保険の被保険者期間を
  年金額として反映させる

 

27、 加給年金の支給要件
  @特別支給の場合は定額部分が支給されるもの
  A65歳から原則支給の老齢厚生年金受給権を取得した時
  B被保険者期間が240カ月(20年)以上あるもの
  C生計を維持していた配偶者(65歳未満)又は18歳年度末まで(又は20歳未満で障害   
  1,2級)の子があること  生計維持:原則年収850万円未満

 

28、 加給年金額   配偶者      222400円+特別加算額
          第1子・第2子  222400円
          第3子      74100円

 

29、 加給年金の 受給権者が昭和9年4月2日以降生まれの場合
  特別加算額 S9.4.2〜S15.4.1 32800円
             :
       S18.4.2以降 164000円

 

30、 加給年金の減額改定
  配偶者、子共通: 死亡・生計維持関係消滅
  配偶者: 離婚・婚姻の取り消し・65歳に達した時(振替加算が加わる)
  子: 受給権者の配偶者以外の者の養子になった・養子の子が離縁した・婚姻した
    18歳年度末の終了・障害等級1、2級非該当になった・
    障害等級1,2級の子が20歳に達した

 

31、 在職老齢年金制度
  60歳代前半の在職老齢年金
   *報酬+年金が28万円を超える場合超える金額の2分の1相当の年金を支給停止
  60歳代後半以降の在職老齢年金
   *報酬+年金が46万円を超える場合超える金額の2分の1相当の年金を支給停止

 

  *報酬:正確には「総報酬月額相当額」といい賞与額も含めた1カ月あたりの報酬の額(標準  
   報酬月額+過去1年間の標準賞与額÷12)

 

§7、障害厚生年金

 

32、 支給要件
  @初診日要件・・・初診日において被保険者であること
  A*障害認定日要件・・・障害等級(1級から3級)に該当すること
   *初診日から起算して1年6カ月を経過した日
   (その日までに傷病が治ったときは治った日)
  B保険料納付要件・・・初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの国民年金の被  
   保険者期間がある場合には、その被保険者期間のうち「保険料納付済期間+保険料免除期
   間」が3分の2以上あること
  「特例」・・・平成38年4月1日前にある場合は初診日の属する月の前々月までの直近の1
   年間に保険料の未納期間がないこと
  「特例」は初診日に65歳以上の者には適用しない

 

33、 支給要件に関する例外規定
  @事後重症による障害厚生年金
  障害認定日に障害等級(1〜3級)に該当しない場合でも、65歳に達する日の前日までに障  
  害等級に該当しかつ請求した場合
  A基準障害による障害厚生年金
  障害等級1,2級に該当しない障害の状態にある者に別の傷病による障害(基準障害)が発生 
  し65歳に達する日の前日までに、障害を併合して初めて障害等級1、2級に該当する場合

 

34、 年金額    1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額
         2級:報酬比例の年金額+配偶者加給年金額
         3級:報酬比例の年金額

 

   被保険者期間の月数300カ月みなし(最低保障)
   給付乗率(5.481(7.125))は定率

 

35、 最低保障:
  国民年金の障害基礎年金を受けることができない場合(障害等級3級の場合等)は国民年金の  
  障害基礎年金の4分の3が最低保障される

 

36、 加給年金額
  生計を維持している65歳未満の配偶者のある場合は222400円の加給年金額が加算され
  る
  受給権取得後に生計を維持することになった配偶者も含まれる

 

37、 失権     国民年金の障害基礎年金と全く同じ    ABはいずれか遅い方
  @死亡
  A障害等級3級に該当しなくなって65歳に達したとき
  B障害等級3級に該当しなくなって3年を経過したとき

 

38、 障害手当金
  初診日から5年以内に傷病が「治った」場合に一定の障害(3級より経度)状態にあれば、障 
  害厚生年金3級の2倍の額を「一時金」として支給する
  最低保障額:障害厚生年金の最低保障額の2倍

 

§8、遺族厚生年金

 

39、 支給要件
  @被保険者が死亡
  A被保険者であった者が、初診日に被保険者で初診日から5年経過する日までに死亡したとき
  B障害等級1級又は2級にある障害厚生年金の受給権者が死したとき
  C老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしたものが死亡したとき

 

  @Aの場合保険料納付要件が必要、
  @〜Bを短期要件、Cを長期要件と呼ぶ

 

40、 受給権者
  被保険者等の死亡の当時生計を維持しかつ下記の年齢要件をに該当する
  配偶者、子、父母、孫、又は祖父母に支給される
  受給順位:1:配偶者と子、2:父母、3:孫、4:祖父母

 

  妻:年齢要件無
  夫、父母、祖父母:55歳以上ただし60歳に達するまでは支給停止(若年停止)
  子、孫:18歳年度末までの間にあるか、20歳未満で障害等級
      1、2級に該当かつ、婚姻していないこと

 

41、 年金額 原則 報酬比例の年金額×3/4
  短期要件:障害厚生年金×3/4(300カ月みなしあり)
  長期要件:老齢厚生年金×3/4
   *長期要件の場合生年月日による給付乗率の読替えあり

 

  老齢厚生年金等の受給権を有する65歳以上の配偶者に対する年金額は原則の年金額と「原則 
  的な額×2/3+老齢厚生年金等の額×1/2」のいずれか多い額

 

42、 中高齢の寡婦加算 

 

  子の無い妻の遺族厚生年金に加算
  支給要件   夫の死亡当時40歳以上65歳未満
         子のある妻の場合40歳で遺族基礎年金の子と生計を同じくしていれば可
  加算額    国民年金遺族基礎年金の額×4分の3=579700円

 

43、 経過的寡婦加算
  中高年の寡婦加算は65歳で打ち切られ、その後は妻自身の老齢基礎年金が支給されるが昭和
  31年4月1日以前生まれの妻については国民年金の強制加入期間が短い(30年未満)ため 
  経過的寡婦加算が行われる

 

44、 失権
  @すべての受給権者:死亡、婚姻、直系血族又は直系姻族以外の養子になった、離縁(養子縁
            組の解消)によって死亡したものとの親族関係が解消
  A子、孫:18歳年度末の終了。障害等級1,2級の者が20歳に達した。
  B父母、孫、祖父母:死亡当時胎児であった子が出生した
  C30歳未満の妻:受給権取得時、子の無い妻は5年経過したら失権
           30歳到達前に国民年金の遺族基礎年金の受給権が消滅した場合、消滅か 
           ら5年で受給権が消滅

 

45、 支給停止
  @労働基準法による遺族補償が行われるときは死亡日から6年間支給停止
  A受給権者が複数おり、いずかの所在が1年以上明らかでなく他の受給権者が申請した時は所
  在不明時に遡って支給停止
  B子に対する遺族厚生年金は配偶者が受給権を有するときは支給停止(配偶者に全額支給)
  C夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は受給権者が60歳になるまで支給停止(若年停 
  止)
  E65歳以上の受給権者が老齢厚生年金等の受給権を有するときは遺族厚生年金は老齢厚生年 
  金の額に相当する部分が支給停止
  (差額のみ支給:(遺族厚生年金−老齢厚生年金)が支給される)

 

§9、保険料

 

46、 徴収の対象月 資格を取得した月〜喪失した月の前月まで

 

47、 保険料額
  賞与の支払いの無い月 標準報酬月額×保険料率
  賞与の支払いのある月 標準報酬月額×保険料率+標準賞与額×保険料率

 

48、 保険料率
  H25.9〜H26.8     1000分の171.20
      毎年9月 1000分の3.54 引上げ
  H29.9以降 1000分の183.00で固定

 

49、 保険料の納付
  原則の被保険者、任意単独被保険者
   負担割合   本人・事業主折半
   納付義務   事業主
   納付納期   翌月末日
  適用事業所に使用される事業主の同意のない高齢任意加入被保険者
   負担割合   本人全額負担
   納付義務   本人
   納付納期   翌月末日
  第4種被保険者
   負担割合   本人全額負担
   納付義務   本人
   納付納期   その月の10日

 

  源泉控除
  事業主は被保険者負担分の保険料を前月分の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除できる
  月末退職の場合は前月及びその月分の2カ月分の控除が可能

 

50、 育児休業中・産前産後休業期間中の保険料免除
  3歳未満の子に係る育児休業等または産前産後休業をする被保険者は事業主の申し出により、
  休業開始日の属する月から休業終了日の翌日が属する月の前月まで事業主負担分も保険料が免 
  除されるこの期間は保険料納付済み期間となる
                                         以上

 

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