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労働者災害補償保険法の基本 31の要点にまとめました

§1、目的・適用

 

1、 法第1条
  労働者災害補償保険法は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に 
  対して、迅速かつ公平な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由ま
  たは通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺
  族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与すること
  を目的とする

 

2、 労働基準法上は事業主に災害補償責任(事業主の安全配慮義務)があるが、災害補償を確実に
  行うため労災保険で事業主の災害補償責任を国が代行する制度。そのため保険料の全額を事業
  主が負担する強制加入の制度となっている

 

3、 適用除外   官公署の事業(省庁、県庁、市役所等)

 

4、 暫定任意適用事業
  常時5人未満の労働者を使用する個人経営の農・畜産・養蚕・水産の事業の一部

 

5、 保険事故    業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等、
        二次健康診断を含む

 

        *二次健康診断:過労死の原因となる脳血管疾患、心臓疾患の予防給付労働者の
         請求により実施

 

§2、業務災害と通勤災害

6、 業務災害   業務遂行性(事業主の支配下にある)+業務起因性(業務に起因して災害発生)
                       が必要
               業務遂行性     業務起因性        原則的判断
        作業中          ○          ○            業務上
        会社休憩中    ○         ×            業務外
        出張中      ○         ○            業務上

 

7、 業務起因性   その業務をしていれば誰でも同様の災害が発生した、と考えられる場合

 

8、 業務の範囲
  @本来の業務
  A本来の業務に付随する行為
     準備・後始末行為・・・手洗い、更衣、機械の整備
     生理的行為・・・トイレ、水を飲む
     反射的行為・・・風に飛ばされた帽子を拾う
     必要かつ合理的行為・・・作業に必要な眼鏡を取りに行く
     緊急行為・・・同一の場所での人命救助

 

9、 通勤災害     労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡
          「通勤による」とは、通勤に通常伴う危険が具体化したもの

 

10、 通勤の定義    ・住居と就業の場所との間の往復(一般的通勤)
   (3種類)   ・就業の場所から他の就業の場所への移動(事業場間の移動)
           ・「住居と就業の場所」の往復に先行し又は後続する住居間の往復
             (住居間の移動、単身赴任している労働者の場合)

 

11、 逸脱・中断   (原則) 逸脱・中断の間及びその後は通勤にはならない
          (例外) 日常生活上必要な行為で最少限度の場合(日用品の購入、病院での
                          受診、家族の介護等)逸脱・中断の間を除き経路に戻った後は通勤
               になる
                           (ささいな行為)通勤経路上の店で、ごく短時間お茶、ビールを飲む等ささ
                                        いな行為は逸脱中断に該当しないのでその間も通勤となる

 

§3、保険給付(8種類)

 

12、 保険給付                *業務災害の場合は「補償」の文字がつく 
  (8種類)  負傷・疾病     療養(補償)給付
                   休業(補償)給付
                   傷病(補償)年金
         要介護状態     介護(補償)給付
         障害        障害(補償)給付 (治ゆ後)
         死亡        遺族(補償)給付
                   葬祭料(通勤災害の場合 葬祭給付)
                         予防・異常の所見  二次健康診断等給付

 

  治ゆ: 傷病が完全に回復した状態のみでなく、医療効果が期待できなくなった状態
     (症状固定の状態)を含む

 

§4、傷病に関する保険給付

 

13、 療養(補償)給付
  療養の給付と療養の費用の支給
  @診察A薬剤・治療材料B処置・手術・治療C居宅での管理D入院E移送等

 

  原則、現物給付の「療養の給付」で、例外的に現金給付である「療養の費用の支給」が行われ
  る。後者の場合費用請求は本人が直接、労働基準監督署長に行う

 

14、 休業(補償)給付   休業した日の4日目から支給
             @療養していること
             A労働できないこと(労働不能)
             B賃金を受けない日(休業日)があること
             C通算して3日間の待機期間を満たしていること

 

  一日あたり給付基礎日額の60%が支給される
  一部労働した場合 「(給付基礎日額−賃金の額)×60%」

 

  *給付基礎日額:(3か月の賃金総額/3か月の総日数)

 

15、 傷病(補償)年金   療養の開始後1年6カ月経過した日において次のいずれにも該当した
             場合
             @傷病が治っていない
             A障害の程度が傷病等級(1〜3級)に該当すること

 

  労働者からの請求は不要(労働基準監督署長の職権により支給決定される)

 

  支給額 第1級313日・第2級277日・第3級245日
  年金は年6回偶数月に支払われる

 

§5、障害に関する給付

 

16、 障害(補償)給付   傷病が治ゆした後、障害等級に該当する程度の障害が残った場合
             労働者の請求により、障害補償給付が支給される
             年金 と 一時金がある

 

                    *それぞれ日数は給付基礎日額の日数
    第1級〜7級  障害(補償)年金       第8級〜14級  障害(補償)一時金
    第1級  313日分              第8級   503日分
    第2級  277日分              第9級   391日分
    第3級  245日分              第10級  302日分
    第4級  213日分              第11級  223日分
    第5級  184日分              第12級  156日分
    第6級  156日分              第13級  101日分
    第7級  131日分              第14級   56日分

 

17、 原則    障害等級表にあてはめて決定

 

   準用    障害等級表にない障害は似たような障害を基準にして決定

 

18、 併合  同一の事由で複数の障害が残った場合

 

  併合の原則   片方の障害が14級の場合 重い方の障害等級
  併合、繰上げ   第13級以上の障害が2以上   重い方を1級繰上げ
           第8級以上の障害が2以上    重い方を2級繰上げ
           第5級以上の障害が2以上          重い方を3級繰上げ
                           第9級と第13級                      492日分の支給

 

  *「異なる事由(災害)」で「異なる部位」に障害が残った場合には、それぞれの障害につい
    て別々の障害(補償)給付が支給される

 

19、 加重  新たな業務災害又は通勤災害で同一の部位の障害をさらに重くした(加重)場合、        
      障害等級が加重後の障害等級になり、加重障害による障害(補償)給付の額は加重
      前の額の差額になる

 

  (例)加重前が一時金、加重後が年金の場合は加重前第8級(503日)加重後が第5級(1
   84日)の場合184−(503/25)=163.88(日分)
   25で割るのは年金の平均的な受給期間が25年だから

 

20、 変更  障害(補償)年金の受給権者の障害の程度が自然経過的に増進、又は軽減した場合新
      たな障害等級に応じた年金又は一時金が支給される
      *障害補償一時金の受給権者の障害の程度が自然経過的に変更になった場合、新たな  
      障害等級に応じた給付はされない(一時金で補償は終わった)

 

21、 障害(補償)年金前払一時金
      決められた額を限度として将来の年金の前払いを受けることができる
      限度額 第1級 1340日分   〜 第7級  560日分

 

22、 障害(補償)年金差額一時金
      受給権者が早期に死亡して、一定の額に達していない場合その差額が支給される

 

§6、死亡に関する給付

 

23、 遺族(補償)給付
  遺族(補償)年金     生計維持+年齢・障害の要件を満たした遺族がいる場合
  遺族(補償)一時金    遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合→ 給付基礎日額の
                                    1000日分

 

24、 遺族(受給資格者)の範囲
  労働者の死亡当時生計を維持していた遺族の内下記の要件を満たすもの(順位は死亡当時で決
  定される)

 

  1、配偶者     妻     要件無
            夫        60歳以上または障害状態
  2、子      18歳年度末まで又は障害状態
  3、父母      60歳以上または障害状態
  4、孫       18歳年度末まで又は障害状態
  5、祖父母     60歳以上または障害状態
  6、兄弟姉妹    18歳年度末までか60歳以上または障害状態
  7、夫       55歳以上60歳未満
  8、父母      55歳以上60歳未満  60歳まで支給停止
  9、祖父母     55歳以上60歳未満 (若年停止者)
  10、兄弟姉妹   55歳以上60歳未満

 

25、 受給権者    受給資格者の内最先順位者が受給権者になる

 

26、 年金額   受給権者の数+受給権者と生計を同じくする受給資格者の数
         (若年停止者は60歳になるまで人数に含めない)
  1人    153日分 (55歳以上又は障害状態にある妻の場合175日分)
  2人    201日分
  3人    223日分
  4人以上  245日分

 

27、 失権  @死亡
      A婚姻(事実婚含む)
      B直系血族又は直系姻族以外の者の養子になった
      C離縁(養子縁組の解消)によって死亡労働者との親族関係が消滅
      D子孫又は兄弟姉妹:18歳年度末が終了
      E妻以外の遺族:障害状態に該当しなくなった

 

28、 転給   受給資格者(最先順位者)が失権すると受給権は次順位者に移る

 

29、 遺族(補償)年金前払一時金
  受給権者が希望すれば給付基礎日額の1000日分を限度に将来の年金の前払いを受けること
  ができる

 

30、 遺族(補償)一時金
  年金の受給資格者が1人もいない場合一定の遺族(55歳未満の夫、父母等)に1000日分
  が支給される。また、すべての受給権者が失権した場合1000日分に達していない場合その
  差額が支給される

 

31、 葬祭料   通勤災害の場合は葬祭給付
  葬祭を行う者に対して葬儀費用として「315000円+給付基礎日額の30日分(最低保障 
  額は給付基礎日額の60日分)」を支給する

 

                                         以上

 

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